人事異動に関する要求書

船教組が船橋市教育委員会に11月に要求しました。

                                                                                 2016年11月9日
船橋市教育委員会
教育長 松本文化様
                             船橋市教職員組合
                             執行委員長 徳 田 暁 夫

               人事異動に関する要求書

 船橋市の教育行政に多大の努力をはらわれ,民主教育の発展に尽力されていることに対し,私ども船橋市教職員組合として,深く敬意を表すものです。
 さて2016年度末及び2017年度の人事異動に際し,その方針・実施の方法などについて検討なされていることと思います。人事異動は,教職員の生活や勤務条件に直接関与し勤労意欲を左右するのみならず,子ども・父母や地域の教育要求に応えた教育活動にも大きな影響を及ぼすものです。貴教育委員会として,教職員の教育にかける思いを大切にし公平公正な人事異動を進める体制で臨まれるものと確信しています。私たち教職員組合も立場こそ違え,教育にかける思いは共通するものがあります。そこで,年度末人事異動を中心に,下記のことを要求します。

                                     記

1. 異動にあたっては,本人の希望と納得・承諾を前提として行うこと。
  
2. 異動希望本人の希望に即して学校長の具申が行われるよう校長を指導すること。

3. 同一校,同一地域に「永年勤続」していることを理由に,機械的・強制的な異動を行わないこと。

4. 永年勤続であっても,子育て中・介護中の異動については本人の希望を尊重し,弾力的に扱うこと。

5.  定年前教職員の異動については,本人の希望を尊重し特段の配慮をすること。

6. 他市町への転出を希望する者については,希望が実現するよう最大限努力すること。また,「永年勤続」を機械的に当てはめ,希望のない者に対しての他市町への異動の強要はしないこと。

7. 異校種間の人事交流については,転出希望者の意向を十分に尊重し,異動の押しつけは行わないこと。

8.  勧奨による広域人事交流においても本人の事情や希望を考慮し,交流期間の延長や定着について配慮すること。

9. 新規採用者の異動は,少なくとも県の「人事異動実施細目」の異動方針を踏み越えて行わないこと。特に最初の異動(5年)で他市異動を機械的・強制的に行わないこと。さらにその趣旨を校長に徹底させること。

10. 「特色ある学校づくり」などを口実に「永年勤続」者を学校長に選択させるなどの方法で派閥づくりにつながる恣意的・差別的人事異動をやめること。

11. 小学校1年から2年,3年から4年,5年から6年,中学校2年から3年の学年進行,継続指導の必要な子どもの存在や,研究・教育活動の継続の必要など,教育の条理や学校運営上の必要性に留意し弾力的に人事を行うこと。

12. 異動にあたっては,通勤時間や家庭条件等で困難を抱えている教職員の意向を配慮し,安定して勤務に専念できるよう異動を行うこと。

13. 特に妊娠中及び育児休業中・休業あけ1年以内の教職員の異動は,本人が希望した場合を除いて行わないこと。

14. 精神性疾患等に起因する休職および療養休暇から復帰する場合は,本人の希望があれば休職中または休職あけ直後であっても優先的に異動を行うこと。

15. 休暇・休職から復帰する場合の復帰プログラムをつくり,再発防止に努めること。

16. 単年度配置を理由にした加配の引き上げを行わないこと。

17. 「加配の引き上げ」を理由にした異動の強要を行わないこと。
                                                                                
18. 市立特別支援学校から通常学級への異動希望についても本人の希望を尊重すること。

19. 中学校においては,無免許の教科を担当させないように人員を配置すること。

20. 異動先の担当教科,分掌,学年等の人事について,異動者本人に確認すること。やむを得ず無免許教科を担当させる場合については,異動者本人の同意を得て人事異動を進めること。

21. 「過員」が生じる場合は,校内のすべての教職員で十分に話し合い,納得のいく方向で対処すること。特定の職員を管理職が一方的に指名して異動をすすめることのないようにすること。

22. 「調査票」に記載された事項は,異動希望の有無にかかわらず本人の希望であり尊重すること。とりわけ異動希望がないにもかかわらず,「希望校」欄を強制的に記入させることのないようにすること。


23. 「調査票」記入例示文書は,職員に「その通りに書かなければならない」などの誤解を与えることのないようにすること。特に「異動希望あり」の職員に他市希望を強制的に書かせることのないよう,校長を指導すること。

24. 異動希望のない者についての「再調査」をしないこと。特に,同一校7年経過後であっても異動希望「無し」を「有り」に書き換え強要するなど,無制限にいつまでも説得を続けないこと。

25.  異動希望校が2校以下であっても,さらに書くことを強要しないこと。

26. 人事異動の具体的な実務は調査票の提出をもって始まることを徹底し,冬期休業中を含め提出期日以前の事前面接の強要はしないよう校長を指導すること。

27. 人事個票の配布は従来通り冬季休業日前日(以前の2学期終業式の日)とすること。あわせて,県にも配布期日を早めないように働きかけること。

28. 本人の希望通りであるか否かにかかわらず内示前に人事の進捗状況について本人に必要かつ 十分な情報を提供し,納得の上で異動が進められるように配慮すること。

29. 本人の異動希望と異なった場合は,内示前に本人と十分に話し合いをするなどして,納得の上で異動が進められるようにすること。

30. 管理職としての見識が疑われる言動には責任を持って指導すること。「特別に指導力の向上を要する」教員の申請などをもって異動を強要することのないように校長を指導すること。

31. 異動の打診・内示は,可能な限り早く学校名を提示すること。遅くとも,変更可能な時期に 行なうこと。希望外の打診をせざるを得ない場合には,一斉打診にこだわらず可能なところから順次行うこと。

32. 異動者には,赴任前に,校務分掌等について本人の事情や希望を聞き,赴任校の校長に伝えるなど異動しない職員と公平に扱うよう校長を指導すること。また,赴任校の担当学年など校務分掌を赴任前に知らせるよう校長を指導すること。

33. 「学級編制基準の弾力的な運用による配置」について学校長に周知徹底し,学級増か加配の選択については職員とも十分協議するよう指導すること。

34. 入学式や始業式以降に学級担任が決まらないといった,教職員をはじめ父母や子どもに不安 や不信をつのらせるような事態を防ぐように,市としても最大限の努力をすること。

35. 本人の希望により,4月1日以降の異動辞令を出さず,1日現在の在籍校に留まれるよう県に働きかけること。

36. いわゆる「学級認可日」を,現行の入学式・始業式から4月1日以前にするよう県に強く働きかけること。
37. すべての学級に定数内正規教員の配置を可能にするために,新規採用者を増やすよう県教育委員会に働きかけること。また,教職員定数改善・県単教職員の増員についても県に強く働きかけること。

38. 産休補助教職員,育休補助教職員,事故対策教職員を速やかに,かつ完全に配置するとともに,期間採用者の身分を保障し,無理な異動を行なわないこと。併せて年度始め,年度途中の未配置,未補充問題を解決する方策を具体的に講じること。

39. 退職勧奨は,校長にその権限がないので行なわせないこと。併せて,過員解消のための退職の強要はしないこと。

40. 定年退職教職員に対しては,労をねぎらうとともに定年後の動向について誠意を持って対応すること。また,退職後の動向について所定の様式をもって確認すること。2014年4月1日から施行されている「改正 高年齢者等の雇用の安定に関する法律」や「地方公務員の雇用と年金の接続について」の閣議決定(2014年3月29日)に基づき本人の希望を尊重すること。
       ① 再任用希望者の勤務希望校を市として把握し,尊重すること。
      ②  定年直後の再任用希望者にも2.5日勤務の労働条件を復活すること。

41. 再任用希望者については,本人の希望を尊重した人事異動を行うこと。本人の希望と違う採用条件の場合は十分に説明すること。特に,短時間再任用は2日半を原則とし,「週4日・5日勤務」は止めること。また,現状で「週4日・5日勤務」をしている者の長期休業中の勤務態様は,2日半を原則とするよう指導すること。

42. 短時間再任用の雇用、人事を保障するため、県に対して、加配教員を増やすように強く要望すること。

43. 再任用者は,定数外にするように県に強く働きかけること。

44. 複数校兼務については,強要しないこと。

45.  加配の割り振りについては,学校状況を十分勘案の上,偏りがないようバランスよく配置すること。

46. 管理職の配置にあたっては,同一学校に校長・教頭の同時異動がないようにすること。

47. 人事行政の主体性を守り,第三者の干渉や情実等による人事を行なわないこと。

48. 不明朗,不公平人事との疑念を抱かせることのないよう公平,民主的な人事を貫くこと。

 

《管理職登用についての特別要求》

1. 校長・教頭の採用にあたっては,多くの現場の教職員が納得できるよう配慮し,組合の意見も十分尊重すること。

2. 管理職の選考にあたっては,次の八つの視点をもって選考すること。
   ①憲法を尊重する人材であること
   ②児童・生徒の人権と教職員の人権を尊重する人材であること
   ③父母・国民の付託に応える人材であること
   ④学校の民主的運営に努める人材であること
   ⑤労働基本権を尊重し,不当労働行為を行わない人材であること
   ⑥教育委員会に教職員の意見を正しく反映する人材であること
   ⑦社会的常識や道義を身につけている人材であること
      ⑧労働安全衛生法にもとづく職場環境を遵守する人材であること。

3. 管理職の登用にあたっては,当組合の組合員であること等による差別をしないこと。

4. 複数教頭制を廃止し,一般教職員の定数増にふりむけるように,県に働きかけること。


《確認事項》
1. 同一校に7年以上であっても,児童生徒の生活指導上の問題等がある場合は,十分な配慮をすること。

2. 新規採用者の3年後は「異動できる」であり,本人の意向を尊重し異動の強要をしないこと。

3. 健康状態,家庭事情(親の介護・子育て等),住宅・通勤事情を十分考慮し,これらの実態を配慮して人事異動を行うこと。特に,妊娠中・病気中並びに休業あけ一年以内は,本人の希望がない限り異動させないこと。

4. 組合脱退を教唆・誘導する不当労働行為,組合加入の有無・組合活動及び思想信条を理由にした差別的な人事を行なわないこと。

5. 年度途中の児童・生徒増にともなう定数増については,すみやかに定員を配置すること。

6. 校長の具申を尊重し,これに対して,不当な圧力をかけないこと。

7. 他市異動については,3年の勧奨異動なのかどうか説明し,本人の意思を尊重して確認すること。

8. 明白な誤記,印漏れ並びに記入漏れ等がある場合を除き,個人調査票が校長並びに本人に差  し戻されることがないこと。